お知らせ

亘理「うたのひろば♪にゃん」_3月

2024.3.21

当センターは歌のサークルMorino花ccoのみなさんと協力して 
宮城県亘理町で月に1回「うたのひろば♪にゃん」を2020年9月から開催しています。
(今年度は令和5年度宮城県NPO等による心の復興支援事業補助金を受けて実施しています)

お彼岸の時期となり、春を感じる昨今ですが、今日は茨城で震度5の地震があったり、ここ亘理では冷たい風がごうごうと吹いていたり、とやや気持ちがざわつく朝でした。元気に歌って、そんな気持ちを吹き飛ばそうではありませんか!

音楽リーダーはいつものようにソプラノ岩瀬りゅう子さん(仙台オペラ協会)とピアノ阿部恵美子さんです。岩瀬さんは毎回、ウォーミングアップに新しいメニューを持ってきます。今日は手の指を回したりさすったりするワークから始めました。寒い時は、身体の末端から徐々に温めてゆくのが良いらしいです。また、椅子のひじ掛けをしっかりつかんで体を持ち上げるようにすると、自然に背筋が伸びて歌うときにふさわしい姿勢になりました。

さて、みんなで歌うコーナーでは、まず『どこかで春が』を歌いました。素朴な歌にのせて小さな春の気配に思いを馳せ、ほっこりとした気持ちになりました。冬の厳しい東北だからこそ、春のしるしはいっそう嬉しいものです。二組に分けてお互いの歌を聴き合い、ほのぼのとした空気に包まれていました。

続いて、瀧廉太郎『花』は学生の頃にアルトパートを習ったという方がけっこういましたので、せっかくだからと前に出て歌っていただきました。明治時代の歌ですがこうして今も世代を越え、声を合わせて一緒に歌えること、なんて素晴らしいことでしょうか。
『ゴンドラの唄』はよく知られた流行歌です。が、低音から高音まで一気に駆け上がるところがあり、ちょっと歌いづらい様子がありました。「熱き血潮の」の「き」の部分です。岩瀬さんは「コツは〈高い音をあきらめない〉ですよ!」とアドバイスし、1番から4番までそれぞれのポイントをピックアップして何度か練習しました。
同じく大正時代の『かなりや』は、抒情的なゆったりした4分の4拍子で始まりますが、一転、4番だけはからっとした8分の3拍子になるのが特徴です。山に棄てるとか鞭で打つとか、なかなか物騒な歌ですが、最後にカナリヤは美しい風景の中で歌を思い出せたんですね。ハッピーエンドでほっとしました。

みんなでたっぷり歌ったあとは、締めとして岩瀬さんが『おかあさんは春』という歌を披露しました。「ママ」「かあさん」「おふくろさん」と呼びかける声と表情がとても優しく、みなさんもニコニコと目を細めて聴いていました。きっとご自分のおかあさんのことを思い出していたのでしょう。
現地のお世話役を務めるNさんが若い頃に着ていたワンピースをピアニストの阿部さんにプレゼントしたり、新しい参加者が重い椅子を運んで片づけを手伝ってくださったりしました。
歌声と、笑顔と、厚意のやり取りがここにはあります。参加者と演奏家との協働によってこの「うたのひろば」は成り立っていることを改めて感じた春の日でした。ありがとうございました。